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「君、その格好は校則違反だよ」
「知ってるけど」



澄百合のセーラー、ブーツ、ピアスにこの髪色 まあ注意を受けて当然のわたしは背後から掛かった声に即答、身を屈めて振り向く。壁が砕け、わたしの目の前には学ランを羽織った雲雀恭也その人。(先ほど担任が詳しく容姿とか、なるべく関わるなとか、それはもう顔を青くしながらわたしに教えていた。)台詞とともにトンファーを振り下ろしてきたので、わたしはそれをしゃがんで避けながら指をくいっ、と静かに動かす。



「もう、いきなり何?あなた、礼儀とかいうものわきまえてる?」
「・・・・咬み殺すよ」



雲雀はトンファーを構え直し、足を踏み出す。・・・・・・否、踏み出そうと、した。動かない、足が、腕が、体が。動かせない、何かにおさえつけられている感覚、ぞわり と、何かが纏わり付いているような感触。いつのまにか増えているギャラリーも押され気味の雲雀に驚いているらしい。



「・・・・何したの」
「ん?なーいしょ。その物騒なもの閉まってくれたら開放してあげてもいいけど」



しばらく無言でこちらを睨み付けてたけど、観念したのかトンファーを手放す雲雀、開放された手足を少し動かしこちらを見る。・・・・・ちなみに粗方糸は回収したけど、まだ少しだけ残してある。(殺さないように気をつけないと)(まだ、糸を使うのは慣れない)


「君、名前は?」
「一年A組、只の一般転入生、だよ」
「そう。」


トンファーを拾い上げ、来た道を引き返す雲雀、を見送る。



「次会ったときまでにその服装、正しといてよね。」



じゃないと咬み殺すよ、と付け足してその場を去って行った、所で糸をすべて回収する。・・・残念ながらわたしはこの服装をやめるつもりはないんだよ、と小さく呟いておいた。(聞こえていたかは知らないけど)




教室に戻れば、質問の嵐。 前はどこの学校に行ってたの?澄百合学園。えーっ!超お嬢様学校じゃん!なんでこっちに来たの!?え、澄百合って廃校になったんだよね?うそーっ!?そうなの!?うん、そうだよ。だから転入してきたの。なあ、野球するのか?え、しないよ?じゃあなんでバットケース持ってるんだ?んー・・・ひみつ。ははっ、お前面白いのなー!


(一般人、ごく普通の女子中学生を演じきれるかな?)